電気主任技術者(電験三種)の仕事とは?電気工事士からのキャリアアップを徹底解説  

「電気工事の仕事って、ずっと現場作業なのかな?」そんな風に思っていませんか?実は、現場で経験を積んだ先には、電気設備を自分の手で“作る”仕事から、電気設備全体を安全に“守る”仕事へとステップアップする道もあります。そのキャリアの鍵となるのが、国家資格「電気主任技術者」。この記事では、電気工事の仕事の奥深さと、あなたの未来の可能性を広げるキャリアパスについて、分かりやすく解説します。


【基本】電気主任技術者(電験三種)とは?~電気設備の"ドクター"と呼ばれる専門家~

「電気主任技術者」と聞くと、何だか難しそう…と感じるかもしれませんね。でも、もしあなたがゲーム好きなら、パーティーを守る“守護神”や“ヒーラー”のような存在をイメージしてみてください。電気工事士が武器を持って戦う“戦士”なら、電気主任技術者は、パーティー全体が安全に戦えるように魔法のバリアを張ったり、仲間を回復させたりする、いわば司令塔です。そんな、電気設備の安全を守る“ドクター”とも呼ばれる専門家について、まずは「電気工事士と何が違うの?」という基本のキから見ていきましょう。


電気工事士との根本的な違い~「作る人」と「守る人」~


電気工事士と電気主任技術者の最も大きな違いは、その役割です。電気工事士が、設計図などに基づいて電気設備を安全に**「作る(施工する)」専門家であるのに対し、電気主任技術者は、完成した電気設備が法律や基準を守り、安全に動き続けるように「守る(保安・監督する)」**専門家です。電気工事士が電気工事士法に基づいて仕事をするのに対し、電気主任技術者は電気事業法という法律に基づいて仕事をします。同じ電気を扱うプロでも、その立ち位置と責任範囲が根本的に異なるのです。


なぜ必要?法律で定められた「保安監督」という独占業務


なぜ「守る」専門家が必要なのでしょうか。工場や大きなビルなど、大量の電気を使う「事業用電気工作物」では、電気事故が起きると社会に与える影響が非常に大きくなります。そのため、電気事業法という法律で、施設の設置者は必ず電気主任技術者を選任し、電気設備の安全を監督させることが義務付けられています。この「保安監督」は、電気主任技術者の資格を持つ人だけが行える独占業務であり、社会の電気安全を維持するために不可欠な役割なのです。


電験三種・二種・一種の違いと、まず「三種」を目指す理由


電気主任技術者の資格は、扱える電圧の範囲によって三段階に分かれています。一種がすべての電気工作物、二種が電圧17万ボルト未満、そして**三種(通称:電験三種)**が電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物を扱えます。一般のビルや多くの工場は「電圧5万ボルト未満」に該当するため、まずは電験三種の資格を取得することが、多くの現場で活躍するための最初の、そして最も需要の高い目標となります。


【仕事内容】電気主任技術者のリアルな業務とは?~点検・監視から計画立案まで~

電気主任技術者の仕事は、ただ設備をじっと眺めているだけではありません。電気の安全を確実に確保するため、計画的かつ多岐にわたる専門的な業務を担います。ここでは、その具体的な仕事内容をいくつかご紹介します。


主な仕事①:電気設備の維持・運用(日常・月次・年次点検)


電気主任技術者の最も基本的な業務が、電気設備の定期的な保守・点検です。毎日行う「日常巡視点検」で異音や異臭がないかを確認し、毎月行う「月次点検」で測定機器を使い設備の健康状態をチェック。そして年に一度、施設全体を停電させて行う「年次点検」で、普段は見られない部分まで精密に検査します。このように計画的な点検を通じて、設備の異常を早期に発見し、トラブルを未然に防ぐのです。


主な仕事②:保安規程の作成と管理


それぞれの事業所には、電気設備を安全に運用するための独自のルールブックである「保安規程」の作成・整備が義務付けられています。電気主任技術者は、その施設の特性に合わせて保安規程を作成し、常に最新の状態に更新する役割を担います。災害時の対応マニュアルなども含め、いわば「電気の安全に関する、その現場だけの法律」を作る重要な仕事です。


主な仕事③:工事・作業の監督と立会い


施設内で電気設備の新設や改修工事が行われる際、その工事計画が法律や技術基準に適合しているかを審査し、実際の作業に立ち会って、安全に施工されるよう監督するのも大切な仕事です。この場面では、現場の状況をよく知る電気工事士との緊密な連携が不可欠。まさに「作る人」と「守る人」が協力して、安全な設備を作り上げるのです。


活躍のフィールドは?ビル、工場、再エネ施設など


電気主任技術者が求められる場所は非常に多様です。皆さんが普段利用するオフィスビルや病院、ショッピングセンター、そして地域の産業を支える大小さまざまな工場。最近では、太陽光発電所や風力発電所といった再生可能エネルギー施設でも、保安監督の専門家として重要な役割を担っており、活躍のフィールドはますます広がっています。


【キャリアパス】なぜ電気工事士からのステップアップにおすすめなのか?

電気工事士として現場で得た経験は、電気主任技術者を目指す上で非常に大きなアドバンテージとなります。現場を知っているからこそ、図面だけでは分からない危険を予知し、優れた保安監督ができるのです。ここでは、電気工事士からのキャリアアップとしての具体的なメリットを3つご紹介します。


メリット1:現場経験が活きる!電気工事の知識が保安業務の土台に


電気工事士として現場で培った、配線のルートや機器の配置、施工上の注意点といった実践的な知識は、保安業務において絶大な力を発揮します。図面だけでは読み取れない設備のクセや弱点、劣化しやすい箇所などを予測し、より的確な点検・管理を行うことができるのです。「作る」側の視点を知っているからこそ、本当の意味で「守る」ことができるようになります。


メリット2:キャリアの安定性と将来性~AIに代替されにくい専門職~


電気主任技術者は、法律で事業所ごとに選任が義務付けられている「必置資格」です。そのため、景気の動向に左右されにくく、常に安定した需要があります。また、設備の状況を総合的に判断し、不測の事態に対応する高度な判断力と責任感が求められるため、AI(人工知能)などにも代替されにくい専門職として、将来性も非常に高いと言えます。


メリット3:働き方と年収の変化~現場作業から管理業務へ~


キャリアチェンジに伴い、働き方も変化する傾向にあります。日々の肉体的な現場作業中心の働き方から、点検計画の立案、報告書の作成、工事の監督といったデスクワークやマネジメント業務の割合が増えていきます。体力的負担が軽減されるため、年齢を重ねても長く働きやすいのが特徴です。また、その専門性と責任の重さから、一般的に年収も向上する傾向にあります。


【資格取得】電験三種の難易度と勉強方法

電験三種は、電気系資格の中でも屈指の難関として知られています。しかし、正しいアプローチで学習を続ければ、働きながらでも合格は十分に可能です。ここでは、その難易度と学習のポイントについて解説します。


合格率は約10%前後!難関国家資格と言われる理由


電験三種の合格率は、近年上昇傾向にあるとはいえ、例年10%~20%前後で推移しており、難関国家資格であることに変わりはありません。その理由は、理論・電力・機械・法規という4つの広範な試験範囲と、電気理論や数学・物理の深い知識が求められる計算問題の多さにあります。付け焼き刃の知識では通用しない、本質的な理解度が問われる試験です。


4科目の試験内容と「科目合格制度」の活用


試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目で構成されており、全てに合格する必要があります。しかし、一度合格した科目は、その後2年間は受験が免除される「科目合格制度」があります。この制度を活用し、「今年は理論と法規、来年は電力と機械」というように、数年かけて計画的に全科目合格を目指すのが、社会人にとっては現実的で有効な戦略となります。


働きながら合格を目指すための学習プランのヒント


電気工事士の経験者は、日々の業務で触れている「法規」や、送配電に関する「電力」の一部は比較的イメージしやすいかもしれません。一方で、数学や物理の知識が問われる「理論」や、様々な電気機器の原理を学ぶ「機械」で苦戦する傾向があります。まずは過去問を解いてみて、自身の強み・弱みを把握することが学習プランの第一歩です。現在は質の高い参考書や通信講座も豊富なので、自分に合った学習方法を見つけることが大切です。


【まとめ】電気主任技術者は、あなたのキャリアを照らす新たな道

電気主任技術者は、電気工事士として培ったスキルと経験を土台に、より高い専門性と安定したキャリアを築くための有力な選択肢です。資格取得の道のりは平坦ではありませんが、その先には、大きなやりがいと社会からの高い評価、そして新しい働き方が待っています。


電気主任技術者(電験三種)の重要ポイントをおさらい


この記事の要点を改めて確認しましょう。


電気設備の安全を「守る(保安・監督する)」専門家。

電気工事士とは「作る人」と「守る人」で役割が違う。

法律で定められた「独占業務」のため、需要が安定し将来性が高い。

難関だが、「科目合格制度」を活用し計画的に目指せるキャリアアップ資格。


いわき市で電気のプロへ!株式会社武藤電業で多様なキャリアを描きませんか?


この記事を読んで、電気工事士として経験を積んだ先のキャリアに、新たな可能性を感じた方も多いのではないでしょうか。株式会社武藤電業では、まず現場のプロフェッショナルを目指すことはもちろん、将来的には多様なキャリアを描けるよう、社員一人ひとりの成長意欲を全力で応援します。

私たちは、電気工事士としての確かな技術が、将来的に保安・監督業務など、あらゆる電気の仕事の礎になると信じています。だからこそ、未経験の方でも、経験者の方でも、一人ひとりが着実にスキルアップできる環境を整えています。資格取得支援制度を活用して、働きながら電験三種のような難関資格に挑戦することも可能です。

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