D種接地工事の施工方法を徹底解説!接地極の打ち方から抵抗値の測定まで

以前の記事で「D種接地工事とは何か」について解説しましたが、多くの読者様から「具体的にどうやって施工するの?」という声をいただきました。この記事では、その疑問にお応えするため、D種接地工事の具体的な施工手順を、必要な工具から接地抵抗値の測定まで、ステップバイステップで徹底解説します。


【最重要】はじめに:なぜ接地工事は資格を持ったプロが行うべきなのか

本題に入る前に、最も重要なことをお伝えします。この記事は、あくまで知識や理解を深めるためのものであり、無資格者によるDIYを推奨するものでは決してありません。


感電・火災のリスク:知識不足が招く重大事故

接地工事は、電気設備の安全を確保するための根幹です。しかし、施工方法を一つでも間違えれば、接地が全く機能しないばかりか、かえって感電や火災のリスクを高めることになりかねません。不完全な接続は漏電の原因となり、最悪の場合、人命に関わる重大事故を引き起こします。


法令遵守:電気工事士法による規定

接地工事は「電気工事」に該当するため、電気工事士の資格を持つ者でなければ行ってはならないと法律で定められています。無資格での施工は法令違反となります。安全とコンプライアンスを守るため、必ず専門の電気工事業者に依頼してください。


【ステップ1】準備と計画:必要な工具と材料

確実な接地工事は、適切な準備から始まります。現場の状況に合わせて、最適な材料と工具を選定することがプロの第一歩です。


接地極(アース棒)の選定

接地工事の主役となるのが、地面に打ち込む接地極(アース棒)です。一般的には、銅で覆われた鋼製の棒「銅被覆鋼棒」がよく使用されます。長さは1.5m(1500mm)のものが主流ですが、土地の状況(土壌の乾燥具合など)に応じて、より長いものや複数本を使用することもあります。


接地線(IV線)の太さを選ぶ

接地極と分電盤を繋ぐのが接地線です。一般的に緑色の絶縁被覆で覆われたIV線が使われます。線の太さ(断面積)は、その建物に設置されている漏電遮断器の定格電流によって決まっており、直径1.6mm以上のものが法律で定められています。


必要な工具一覧

D種接地工事で主に使われる工具は以下の通りです。


  • ハンマードリル、大きなハンマー(スレッジハンマー):接地極を地面に打ち込むために使用します。
  • 圧着ペンチ、リード端子:接地線と接地極を接続するために使用します。
  • ワイヤーストリッパー、ペンチ、ドライバー:配線作業全般で使用します。
  • 接地抵抗計(アーステスタ):工事の最後に、接地抵抗値を測定するための最も重要な測定器です。


【ステップ2】施工:接地極(アース棒)の打ち込み

準備が整ったら、実際に接地極を地面に打ち込んでいきます。この工程が、接地抵抗値を大きく左右します。


打ち込み場所の選定

接地極を打ち込む場所は、できるだけ湿り気のある土壌を選ぶのが理想です。水分は電気を大地に逃がしやすくするため、低い接地抵抗値が得やすくなります。逆に、乾燥した砂地や岩盤が多い場所は避けるべきです。また、水道管やガス管などの埋設物に注意を払うことも極めて重要です。


正しい打ち込み方法と深さ

選定した場所に、接地極の先端が地面に垂直になるように立て、大きなハンマーやハンマードリルを使って打ち込んでいきます。この際、安全ゴーグルや手袋の着用は必須です。最終的に、接地極の頭が地面よりも少し下(地中)に埋まるまで、深く確実に打ち込むのが基本です。


接地抵抗値が下がらない場合の対処法

土壌の状態によっては、1本の接地極だけでは規定の接地抵抗値まで下がらない場合があります。その際は、より長い接地極を使用したり、接地極を複数本連結して打ち込んだり、あるいは接地極を複数本(2m以上の間隔をあけて)打ち込むといった対策を取ります。


【ステップ3】接続:接地線(IV線)の取り付け

接地極を打ち込んだら、次に接地線を接続します。この接続が不完全だと、せっかくの接地工事が意味をなさなくなってしまいます。


接地極と接地線の確実な接続

地中に打ち込んだ接地極の頭に、接地線を接続します。この際、リード端子と呼ばれる専用の接続金具を使用し、圧着ペンチで強く、確実に圧着します。接続部分が緩んだり、将来的に腐食したりしないよう、堅牢な接続を施すことがプロの技術です。


分電盤(アースターミナル)への配線

接地極に接続した接地線のもう一方の端は、建物内の分電盤まで配線します。そして、分電盤の内部にある「アースターミナル」と呼ばれる専用の端子に接続します。これにより、建物全体の電気が大地と繋がることになります。


【ステップ4】測定と完了:接地抵抗値の確認

全ての施工と配線が完了したら、最後にして最も重要な工程が「接地抵抗値の測定」です。この測定によって、行った工事が法律の基準をクリアしているかを証明します。


接地抵抗計(アーステスタ)の基本原理

接地抵抗計(アーステスタ)は、接地工事が正しく機能するかを測定する専門の機器です。簡単に言うと、地面に微弱な電気を流し、その流れやすさ(抵抗の低さ)を測定する仕組みです。この測定には、補助接地棒と呼ばれる2本の金属棒を地面に刺して使用します。


正しい測定の手順

一般的な測定方法(三極法)では、まず打ち込んだ接地極から10m離れた地点に補助接地棒(C)を、さらに10m離れた地点にもう一本の補助接地棒(P)を一直線上に打ち込みます。そして、それぞれの棒を接地抵抗計に接続し、測定ボタンを押して抵抗値を読み取ります。


基準値(100Ω以下)の確認と記録

測定した結果、接地抵抗値がD種接地工事の基準である原則100Ω以下(漏電遮断器の設置状況により緩和措置あり)であることを確認します。基準値をクリアしていれば、工事は無事完了です。この測定結果は、施工の品質を証明する重要な記録として保管されます。


【まとめ】確実な施工と測定が電気の安全を守る

D種接地工事は、単純に見えて奥が深い、電気安全の基礎となる重要な工事です。確実な施工と、基準を満たしているかを確認する最後の測定まで、一切の妥協は許されません。


D種接地工事の施工手順おさらい


  • 準備: 適切な接地極、接地線、工具を用意する。
  • 施工: 湿り気のある場所に接地極を深く打ち込む。
  • 接続: 接地極と分電盤を接地線で確実に接続する。
  • 測定: 接地抵抗計で基準値(100Ω以下)をクリアしているか確認する。


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