「電気工事士」と「電気取扱者」、どちらも電気に関わる専門家ですが、その役割やできることの違いを正確に説明できますか?「ブレーカーを操作するだけなら資格は要る?」「コンセントの交換はどっち?」そんな現場の疑問を解決するため、2つの資格(教育)の違いを図解で徹底比較します!
【大前提】「国家資格」と「安全教育」―目的と根拠法の違い
まず理解すべき最も大きな違いは、その位置づけです。片方は国が認める「資格免許」であり、もう片方は労働安全を守るための「教育」です。この違いが、業務範囲の差に直結します。
電気工事士:電気を"作る"ための国家資格
電気工事士は、電気工事士法に基づき、電気工作物を安全に「工事(施工)」するための国家資格です。資格がなければ、原則として電気工事はできません。いわば、安全な電気設備をゼロから作り上げる専門家です。
電気取扱者:電気を"安全に扱う"ための特別教育
電気取扱者は、労働安全衛生法に基づき、事業者が労働者に対して行う「特別教育」を修了した人のことです。主な目的は、すでに存在する電気設備を安全に「取り扱う」ためであり、労働災害(特に感電)を防止することにあります。
【図解①】ひと目でわかる!電気工事士 vs 電気取扱者 比較表
言葉だけでは分かりにくい違いを、一枚の図にまとめて比較してみましょう。ここを見れば、両者の役割の違いが明確になります。
比較表で見る6つのポイント
それぞれの違いを「目的」「根拠法」「資格の種類」「業務のキーワード」「主な作業内容」「対象設備」の6つのポイントで比較します。
【図解②】業務範囲の境界線はどこ?「できること」「できないこと」
両者の違いを理解した上で、次に最も重要な「業務範囲の境界線」を具体例で見ていきましょう。この判断を間違うと、法令違反や重大な事故に繋がる可能性があります。
電気工事士だけができる「電気工事」の例
電気工事士の独占業務である「電気工事」とは、電気設備を新たに設置したり、変更を加えたりする作業全般を指します。具体的には、壁や天井の内部に電線を配線する、コンセントやスイッチを増設・交換する、分電盤を取り付ける、接地(アース)工事を行うといった作業です。これらは、設備の根幹に関わるため、専門知識と技術を持つ電気工事士でなければ絶対に行ってはいけません。
電気取扱者が行う「電気の取扱い」の例
一方、特別教育を修了した電気取扱者が行うのは、すでに設置されている電気設備に対する「安全な取扱い」です。例えば、工場の機械をメンテナンスする際に、充電部分が露出している開閉器(スイッチ)を操作したり、設備の点検のためにテスターで電圧を測定したりといった作業がこれに該当します。あくまで「工事」ではなく、日常的な保守・管理業務の一環としての「操作・点検」が主な役割です。
【図解②:この作業、どっちの資格(教育)が必要?】
キャリアとしての視点:どちらを目指すべき?
それぞれの役割を理解した上で、自身のキャリアプランとしてどちらを目指すべきか、あるいは両方がどのように関わるのかを解説します。
まずは「電気工事士」を目指すのが王道
これから電気の世界に飛び込もうと考えている方であれば、まずは全ての工事の基本となる「第二種電気工事士」の資格取得を目指すのが一般的です。この資格があって初めて、電気工事のキャリアがスタートします。幅広い「工事」に携わることで、電気設備がどのように作られているかを根本から理解できます。
業務の必要性に応じて「電気取扱者」の教育を受ける
電気工事士として工場やビルメンテナンス会社などに就職した場合、日々の業務で充電状態の電路を操作・点検する必要が出てきます。その際に、会社で「低圧電気取扱者」や「高圧電気取扱者」の特別教育を受ける、というのが最も一般的な流れです。電気工事士の知識がある上でこの教育を受けることで、より深く安全への理解が定着します。
【まとめ】役割の違いを正しく理解し、安全な作業を
電気工事士と電気取扱者は、どちらも電気の安全を守るために不可欠な存在ですが、その役割と責任範囲は明確に異なります。この違いを正しく理解し、自分の業務範囲を遵守することが、法令を守り、何よりも自分自身と同僚の安全を守るための第一歩です。
電気工事士と電気取扱者の違いをおさらい
- 電気工事士は、電気設備を「作る」ための国家資格。
- 電気取扱者は、電気設備を安全に「扱う」ための安全教育。
- コンセント交換は「工事」、充電部の点検は「取扱い」など、できること・できないことの境界線を正しく理解することが重要。
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